新着情報
- 2021.08.01ブログ
「国の宝は山なり〜」
「国の宝は山なり〜」
関ヶ原の戦いの後、西軍に与み(くみ)したとして常陸から秋田へ左遷させられた藩主佐竹義宣は、豊富な秋田天然杉を伐採して他の藩と商いをすすめ藩の財政を立て直す。この言葉は、その家老として佐竹義宣を陰で支えた渋江政光の遺訓の一部である。
7月の二日間、地元の中学校の職場体験学習の生徒を受け入れた。
将来は木材に関わる職業を考えているという二人の生徒たち。木と触れ合い、木に学び、木との深い関わりの中で私たちの日常が成り立っている事、木を使うことが環境を守ることにつながるという事、日本には昔からの木の技術や文化がある事などなど、木に関して多くを学び体験してもらう二日間であったが、先ずはこの職場体験学習が少しでも楽しく感じてもらえたらと考えた。
二日間の中で、製材工場内の見学や木工作品の製作はもちろん、原木市場にも同行し仕入れの様子を見学、近所の四万十牛牧場にも出向き、おが屑やカンナ屑の再利用方法を見学、工場から排出される端材(木材製品にはならない切れ端)をお風呂の薪として利用していただいている地域住民の家に薪の配達にも出向いた。廃材の提供は、薪を集める事がますます困難になっている高齢者の方々に日頃から非常に喜んでいただいている。
まさにこれが、木育(もくいく)。
木材に関わる様々な体験は、単に木材についての知識や理解を深めるだけではない。ひとり一人が考え行動しなければならない時代だからこそ、木材をよりよく普及していく知恵と行動を学び、地域社会に役立つ心を育て、変化の激しいい世の中を柔軟に対応できる力を持った人財を育てること。「木育」という言葉にはそんな思いが込められている。
生徒たちの気持ちの良い挨拶や礼儀正しい姿勢には、規律正しく送られる学校生活の様子を窺い知ることができた。また、ものづくりに対する積極性や機械操作など技術力にも目を見張るものがあった。これからの時代を担っていく生徒たちが、学校で学べない社会勉強を学べるということにおいては、この職場体験は非常に意味のあるものだと思うので、今後も希望者があれば受け入れを続けていきたいと思う。
そして最後に。
冒頭の言葉の全文はこうである。
「国の宝は山なり、然れども伐り尽くす時は用に立たず、尽きざる以前に備えを立つべし、山の衰えは即ち国の衰えなり。」
国の宝は山なり。
子供達は地域の宝なり。
しっかりと心に刻んでおきたいと思う。